臍から金を出す子ヒョウトク
どんな伝承か
江刺郡に伝わる竈神の由来話。爺が山で大きな穴を見つけ、悪い物が住むといけないと柴を押し込むうち、三月の間に刈った柴をことごとく穴へ入れてしまった。すると穴から美しい女が出て礼を言い、招かれて入ると立派な家があった。馳走になって帰る時、臍ばかりいじる見ともない顔の子供を連れて行けと渡された。爺が火箸で臍を突くと金の小粒が出て、家は富貴になったが、慾張りの婆が留守に強く突いたため子供は死んだ。悲しむ爺の夢に子供が現れ、自分の顔に似た面をよく目に掛かる所に掛けておけば家が笑えると教えた。その子の名をヒョウトクといい、この辺の村々では今も醜い面を竈の上に掛け、江刺郡ではこれをかまぼとけとも呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。