咸鏡道から漂う雁風呂の流木
どんな伝承か
十三潟の水戸口の北の岸には見張りの番小屋があり、その片隅の石垣の下に二尺三尺の流れ木が岡のように積み上げてあった。柳田国男はそれを見て東遊記などの雁風呂の話を思い出す。近世の随筆によく書かれる蛾旅眉山下の橋柱や、天下地上の大将軍の粗彫りの木像などは、いずれも咸鏡道あたりの低地から出たものらしく、何度となくこの浜から南の村でも拾われたのだという。どのあたりの海辺から漂って来たものかと考えながら流木を眺めたと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。