峠を越えて来る湯沢の金魚
どんな伝承か
金魚はわずかな年代のうちに、自らの力でもなしによく分布したものである。羽後の湯沢あたりでは、高い峠を越えて一関方面から毎年金魚の子が入って来る。その代りにはこの方面から太平洋岸に向かって、鯉の子がたくさん行くそうである。鯉は食えるから田舎の人も昔からこれを運んでいたかもしれないが、秋田領では鯉も金魚のように新参で、文化頃から多くなって来たと土地の人も言う。鯰は鯉よりもさらに一段と後に来た魚で、矢立を北へ越えて津軽の平野に下ると、その移住はもっと近年のことであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。