阿波村の惟喬親王御由来書
どんな伝承か
美作の木地屋については「東作誌」に、苫田郡加茂村倉見および同じ郡の阿波村などに住む者が、いずれも同一の家伝書を蔵していることが記されている。阿波村には木地挽きが五戸あって、いずれも苗字は小倉であった。惟喬親王御由来書の署名者が大蔵卿惟仲・民部卿頼貞および藤原定勝の三人である点は、江州君ヶ畑に現存するものと同じであるが、君ヶ畑本が承平二年壬辰とするのに対し、作州のものはそれではあまりだと思ったか、承久二年庚辰となっており、しかもいずれも干支に誤りがない。驚くべき年代記の知識であると柳田は評している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。