西菩提寺の杓子池の雨乞い
どんな伝承か
一方には積極的に、杓子によって多くの不可能事を成し遂げようとした俗信がある。たとえば「近江国輿地誌略」によれば、江州愛智郡西菩提寺村の杓子池では、池に杓子を入れて水を掻き濁すことを有効な雨乞いの方法としていた。柳田は、これは杓と杓子が本来一つであった一つの証拠で、神池の水を攪拌して龍王の力を借りる途とした名残かもしれないが、少なくとも近世においてはこれを雨の挑発手段に供したらしいと述べる。この種の俗信が仏道その他宗教上の承認を得たものでないことは、往々にして無理な目的にも使われることでよく分かるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。