備前福山の馬方の手紙
どんな伝承か
国玉の大橋と同じ話が、備前の福山の近くにも伝わっている。柳田はその地名をちょっと忘れたと断っている。ある馬方が馬を引いて夕方にある土地の坂を通ると、やはり女が出てきて手紙を一通託した。どうにも不審だったので、途中で出会った山伏にこっそり読んでもらったところ、手紙には前文御免として「馬牽男の腸 一具」と書いてあった。馬方は仰天し、自分に都合のよいように書き直してもらって、それを先方へ届けた。ただしこの話では、金持ちになるような打出の小槌をもらったとは書かれていなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。