三州海老町・小屋の飯を食いに来た鬚の男
どんな伝承か
明治の始め頃、三州豊橋の北方、南設楽郡海老町の東にあたる官林に小屋を掛けて木を伐っていた者が、ほかの仕事から小屋に帰って見ると、丈がことのほか高く鬚の生えた男が中に入り込み、しきりに自分の用意した飯を食べていた。つと小屋に入ったが一語も交わさず、男は飯をしたたかに食って去った。その後も折々来ては食べたが、物は言わず、人に害を為すこともなかったという。土尾小介の話として柳田国男が記録している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。