神戸の叔母を求め松林へ
どんな伝承か
著者が四歳の春、弟が生まれて母の注意が自分から離れ、癇の強い機嫌の悪い子だったころの秋口の話。絵本を見ながら、神戸に叔母さんがいるかとしきりに母に尋ねた。実際にはいないのだが、母は気を取られて生返事をしていたらしい。昼寝をしたので目を離すと、しばらくして見に行くともういなかった。三四時間の心配で済み、鉦太鼓の騒ぎになる前に近所の農夫が連れ戻してくれた。県道を南へ一人で歩くのを見た人が二三人あり、家から二十何町離れた松林の道端で見つかった。新開畑で働く人の中に隣の親爺がいて著者と分かり、どこへ行くのかと問うと、神戸の叔母さんの所へと答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。