平泉の山中で逢った不死の異人
どんな伝承か
寛永の初年、仙台藩士小野太左衛門が陸中平泉の古戦場に近い山中で異人に行き逢った。源平時代の見聞をその場に居た者のように語るので、小野は常陸坊海尊と看破し、就いて兵法を学び、恭しく長寿の術を尋ねた。異人は、九郎判官に従って高館にいたころ、六月に衣川で釣りをして達谷に入り、老人から朱のような色の美味な肉を供された、これを仁羹といい、従者は怪しんで食わず持ち帰ったが、その娘が食べて不死になったと語ったという。小野は感歎してこれを主君伊達政宗に言上し、後に清悦と名乗るこの者は御目見えを許された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。