実相寺の残夢和尚は常陸坊海尊
どんな伝承か
正徳二年刊行の『義経勲功記』は、残夢和尚の直話として、義経と弁慶は衣川で死なず、そこで釣り上げた人魚の肉を食べたことによって長命していると説く。林羅山の『本朝神社考』によれば、この残夢和尚とは会津城下の実相寺第二十三世、桃林契悟禅師のことで、その号を残夢また秋風道人といい、すなわち常陸坊海尊であるという。常陸坊海尊自身も、富士に入って岩の上の飴のような物を見つけ、これを食してから長寿を得たという張本人であり、その口頭伝承は東北地方に広く流布していると記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、教諭中塩清之助が昭和十四年に編んだ福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯である。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、八百比丘尼、弁慶譚などの論考と、瓜子姫・絵姿女房・山姥・猿婿入・舌切雀など県下の昔話を収め、古文献や他地方の類例と照らして論じる。昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、学校長金岡正孝の序、校正者大村四朗の跋と「編輯者に代りて」を添える。