若侍が対面した姫路城の刑部姫
どんな伝承か
姫路城の天守には刑部姫という主がいるとされ、昼でも三階から上へは誰も登らなかった。秋の雨の夜、宿直の若侍森田図書が正体を見極めると言って一人で天守を登ると、最上階に十二単に緋の袴の女が座していた。訳を述べると、来た証しにと引きちぎられた兜の錣を渡される。帰りに妖しい火にぼんぼりを吹き消されたが、再び上って灯を分けてもらい無事に下りた。城主松平大和義俊が見覚えがあると蔵の家重代の兜を改めさせると、錣が引きちぎられて無く、持ち帰った錣を当てるとぴたりと合ったという。のちに宮本武蔵が天守に上り、この妖怪を鎮めたとも伝わる。
原典より
そこで、くだんのものと合わせると、ピタリと合ったのである。—— 日本の妖怪伝説(小笠好恵・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪伝説(小笠好恵・1966年(昭和41年))
『日本の妖怪伝説』は、小笠好恵が各地に伝わる奇談・怪談を読み物にまとめた伝説集で、序は昭和四十一年五月付である。浅茅が原の一つ家、四谷怪談、九尾の狐、安達が原の黒塚、道成寺、鍋島の化け猫など、岩手から熊本までの四十五話を、伝えられた形をなるべく崩さずに書き直し、おおむね東から西へ並べる。雨月物語や小泉八雲など書物に拠る話のほか近年の体験談も混じり、一部の話の末にはゆかりの寺社へ行く「順路」を付ける。