崩れる石垣を救った老婆の刑部姫
どんな伝承か
姫路城の主とされる刑部姫については、年増盛りの女だという説と老女だという説がある。老女説の根拠として、こんな話が伝わる。城を築いたとき、石垣はいくら積んでも一夜明けると崩れてしまい、築城を任された加藤清正も思案に暮れた。するとある夜、名も知らぬ見覚えのない老婆がふらりと現れ、つぶてほどの小石を石垣の上に置いて、この上に積めと言った。その通りにすると、それからは崩れなくなった。この老婆こそ城の地主の刑部様だったという。
原典より
清正その通りにすると、果してそれからは崩れなかつた。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。