財布を忘れた坊主の祟りで絶えた財産家
どんな伝承か
今は下妙典の都商工の寮になっている場所に、昔は大きな古井戸と榎の大木があった。その家のお婆さんが米をといでいると、修行のために中山へ向かう坊さんが井戸で水を飲んで涼み、金を入れた財布を忘れて行った。坊さんは取りに戻ったが、金は戻らず、その金が無くては済まないと親たちが川へ身を投げて死んだという。それ以来その家は祟られ、財産家でありながら家が絶えた。娘が一人いて女郎になったといい、脇に系図を継ぐ人がいくらか残るだけである。家から海辺のみどり浜まで人の田地を踏まずに行けたほどの家だった。坊主と馬を殺せば七代祟ると語られる。
原典より
II 伝説〔国分・北国分〕1 三人地蔵2 腹切様 (1)〜(2)3 双頭蛇の弁天様4 日枝神社の話 (1)〜(3)5 百萬両のありか6 じゅん菜池の話 (1)〜(3)—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。