御手浜の龍宮様の松の祟りと小川の大蛇
どんな伝承か
東西線に新駅ができるという場所の近くに、木が茂った小高い所があり、土地の人は龍宮様と呼んでいた。そこは御手浜といって徳川家が直営した塩田の跡で、塩田を津浪から守り栄えるよう祈った海の神を、田に変わってからも毎月十七日を命日として祀り続けたという。この龍宮様の枝ぶりのよい松をこっそり掘って庭に植えた者がいたが、その晩からうなされ熱が出て大騒ぎになり、祟りだろうと返したところ治まったと伝わる。また龍宮様の前の小川には真っ黒な大蛇がいて、野良へ出た人が見慣れぬ黒い丸太の橋を渡ろうとしたら急に動き出し、よく見ると大蛇だったという。
原典より
23 源心寺のいぼとり地蔵24 無縁仏の話25 海坊主26 お鹿狩と旗27 流れてきた御輿28 田中内匠と内匠堀III 昔話—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。