ひしゃくを求める海坊主と盆の漁の禁忌
どんな伝承か
南行徳の漁師から聞いた話として伝わる。海で死んだ者が浮かばれずに出てくるのが海坊主で、この村でそれを知っているのはたき船のじいさんだけだという。じいさんは小さい時から漁に出ていた。海坊主は黒くて人のような恰好をし、にゅうっと海面に現れて「ひしゃく貸せ」と言う。だから盆の十三日には漁に出るなと戒められた。無縁仏が浮かばれずに出てくるのだと語られている。
原典より
26 お鹿狩と旗27 流れてきた御輿28 田中内匠と内匠堀III 昔話〔動物昔話〕1 むりどん(古屋の漏り)2 しみずかに—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。