給金を返さず暇を取った重右衛門
どんな伝承か
印内の重右衛門は変人だと語られる奉公人である。この村の宮下という家に奉公に来たが、給金を決めてもらった後で旦那が「はあ、いいや」と口にした。すると重右衛門は「いいと言ったから」と言って、その給金を返さずに暇を取ってしまった。相手が変わり者なので誰も咎めず、そのまま通ってしまったという。言葉尻を逆手に取って旦那をやりこめる、重右衛門譚の発端にあたる笑話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。