トンビとカラスの形に作った小麦餅
どんな伝承か
重右衛門が「作男と女中の二人分の給料をくれ」と言うので、旦那は「二人分もらうなら、朝起きて御飯の支度もするんだぞ」と念を押し、やると答えた。翌朝、重右衛門は小麦の粉を練って大きな餅を三つだけ作り、「一つは仏さまの、一つは旦那の、一つは重右衛門の」と言う。皆で食べようとしても足りず、奥さんが「よその人はトンビカラスと作るのに、たった三つとは」と言った。すると次の朝は小さく鳶や烏の恰好を作り、「これは鳶でございます」と並べたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。