隠しなった縄を降ろした屋根替えの日
どんな伝承か
昔は茅葺きの草屋根を何年かに一度葺き直した。「屋根替えするから、重右衛門、縄をなってくれ」と言いつけられた重右衛門は、毎日横槌で藁を石の上に打っては物置の仕事場の二階へ上がり、縄をなう様子もなく昼寝ばかりしていた。「明日は屋根屋さんが来るから縄を降ろしてくれ」と言われると、そこから早いの早いのと、チャリチャリ音を立ててない始めた。下でいくら夢中で手繰っても追いつかない。あらかじめないだめて隠していたのだろうと語り手は言う。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。