草鞋で手車を引いた浜町への野菜運び
どんな伝承か
昔は野菜がこの辺では売れないので、皆東京や千住まで歩いて運んだ。車は手車で、今のような舗装ではなく砂利のがりがり道は悪く、履物は草鞋で足袋も無いから、雨が降ると滑ってひどかったという。東京では四目が一番近く、浜町へはたくさん行った。京橋の方まで手車を引いて行ったこともある。この辺の人はおおかた夜中に起きて出かけ、帰りは空車を引いてくるだけでも怠くて眠かった。戦時中は十時に起きて行かなければ遅くなるので、寝る間も無かった。自分ほど難儀した者はまずいないだろうと語る。
原典より
だって、昔の話は本当にうそのようだもの。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。