初孫を歌で渡すはつせ
どんな伝承か
国分の中村ふみが語った、はつせという歌の贈答である。昔は嫁が実家に帰って子を産み、初孫を送り届けるとき、嫁の親が歌を歌いながら婚家の祖母に赤子を手渡した。道芝に揺られ絡まれ孫を送りて参りたよ、ばあさんよ、これへござれよ、孫を渡し申します、と歌うと、受け取る側も心得ていて歌で返した。我が嫁の御産の紐解くときは、神々のお立ち寄りで家内のお世話になりました、これにてお礼を申します、というのである。中村の家では祖母同士が物知りで、この作法を実際にやり取りしたという。
原典より
昔は、赤ちゃんが生まれると、お嫁さんが実家へ帰って生むでしょ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。