浜の漁で煙草の火に逃げる狐
どんな伝承か
夜、浜へ「なぜ」と呼ぶ手づかみの漁に行くと、狐が出た。狐は煙草の火をつけるとすぐにいなくなってしまう。ごそごそと近づいて来ると「やろう、また来たな」と言って煙草に火をつける。するとそっと隠れてしまうのだった。昔は狐やむじなが年中出たもので、明かりや火を嫌うので、必ずマッチを持って出たという。市川市行徳の海辺で語られた話である。
原典より
「泣くと、狐来るぞ!ムジナ来るぞ」なんてね、お爺さんから聞いた事ありますよ。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。