④ 亀を飼わない理由
どんな伝承か
曽谷では亀を飼ってはならないとされる。土地の春日神社には武甕槌命が祀られており、亀はその神の乗り物だと伝えられているためである。話者は日本武尊の乗り馬だと聞いたともいう。昔はこの辺りの田や堀にも亀がいて、子供が捕まえて帰ると、大人から春日神社の乗り馬なのだから逃がしてやれと言い聞かされたという。神社の神の使いにあたる生き物を家で飼うことを避ける、曽谷ならではの禁忌である。
原典より
曽谷で亀を飼っちゃいけないのは・・・・・・春日神社は、武甕槌命(たけみかずちのみこと)ったけなー、祀ってあって、この土地の人は、亀は飼えねんだって。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。