土地で犬神と呼ばれたデネズミ
どんな伝承か
土佐民俗研究会の桂井和雄は、高知県土佐山村弘瀬の一人の老人から、その土地で犬神と呼んでいるものを見せてもらった。体は五センチほどで鼠に似ているが頭がひどく大きく、鼻先は長くとがって長いひげがあり、ちょっと見には小さなモグラのようだった。高知女子大にも同じ種類のものがあって犬神と呼ばれていたが、和名をデネズミというものだったと報告している。土佐では江戸時代から、犬神の正体を鼠の一種とする説が盛んだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。