犬神が恐れる下知状と狼の頭骨
どんな伝承か
美馬郡穴吹町口山字宮内の緒方家には、犬神使いを罰せよと命じた下知状の巻物と、狼の頭蓋骨が伝わっている。犬神はこれを恐れるとされ、頭にいただかせると犬神が落ちて病が治るというので、各地から家を訪ねる人が多いという。下知状は、細川家の執事で麻植郡飯尾出身の飯尾常房(法名常連)が、阿波の北方を治めていた三好式部少輔長之にあてて、三好・美馬・麻植三郡の領主に犬神使いを探し出して罰するよう伝えさせたもので、室町のころの阿波に犬神使いが多かったことをうかがわせるとされる。
原典より
犬神落しは多くは上記のいずれかの方法がもちいられるが、なかには犬神の怖れる前記の美馬郡穴吹町口山字宮内の緒方家に伝わる「犬神使い所罰の下知状」の巻物や狼の頭蓋骨を載かせると犬神が落ちて病気が治るというので、…—— 徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。