海に沈んだ日蓮の生家・蓮華潭
どんな伝承か
日蓮聖人の生まれた家は、鴨川市小湊のいまの誕生寺から東南にあたる蓮華潭にあったと伝えられるが、その場所はすでに海に沈んでいる。貞応元年、小湊の浦に季節はずれの蓮の花が咲き、清らかな泉が湧き出た。それと前後して貫名次郎重忠の妻・梅菊が太陽の玉を抱く夢を見て、二月十六日に玉のような男の子を産んだという。蓮の花とともに湧いた泉を蓮華潭と呼び、日輪に感じて生まれた子なので善日麿と名づけられた。これがのちの日蓮である。建治二年に弟子の日家が師のためにこの地に寺を建てたが、明応七年の地震と津波で流され、妙の浦へ移した寺も元禄十六年の大地震でまた海に没し、三度目の移転で建てられたのがいまの誕生寺である。
原典より
日蓮聖人の生まれた家は、現在の誕生寺の東南にあたる蓮華潭にあったというが、いまは海中に没している。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。