髭を惜しむ歌で追い剥ぎを感心させた宗祇
どんな伝承か
室町時代の末、連歌の名人宗祇が市原の千種の浜を通りかかったとき追い剥ぎに遭い、着物も持ち物もすべて奪われた。裸になった宗祇を眺めていた賊は、その立派な髭に目をつけ、抜いて寄こせと迫る。何に使うのかと問うと毛箒にするのだと答えたので、宗祇はその場で、浮世の塵を掃き捨てるまで自分のための箒だけは許してほしい、という趣旨の歌を詠んだ。賊は風流を解する男だったのでこの歌にすっかり感心し、奪った物をすべて返したうえ、安全な所まで送り届けたという。
原典より
室町時代の末期、連歌の名人である宗祇が、市原市の千種の浜を通りかかった時の話である。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。