頭巾を呑んでいた川の主の大鰻
どんな伝承か
旧飯岡町や海上町に伝わる話である。昔、川で魚を捕るのが好きな金持ちの主人がいた。ある日いつものように漁をしていると若く美しい女が現れ、明日は鰻が鹿島参りに行く日だから漁を休んでほしいと頼んだ。男は承知し、約束の印にと被っていた赤い頭巾を渡した。ところが翌日、男は約束をすっかり忘れて漁に出て、これまでにない大漁のうえ、とてつもない大鰻を一匹捕った。家でその鰻を裂くと腹から前日女に渡した頭巾が出てきた。大鰻は川の主だったのである。それからまもなく家は不幸続きでついに潰れてしまったという。利根川沿岸では鮭、手賀沼周辺では鰻や鯉にまつわる似た話が多い。
原典より
海上郡の飯岡町や海上町に伝わる話。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。