お長堰
どんな伝承か
土睦村上之郷の不動堂の下に、お長堰と呼ばれる堰がある。往古、この堰の堤は年々切れ、続く普請の物入りで村はすこぶる難渋した。ある者が堤の守護に人柱を立ててはどうかと言い出し、それがよかろうと決まったものの、誰を立てるかとなると誰も意見を言わない。その日の当番が、すぐ傍の堤で悠々と柿を食っているおなという乞食を指し、あのおな乞食ではどうだろうねと言うと衆議は一決し、大勢でおな乞食を捕らえて人柱として生き埋めにしてしまった。それからこちら堰は決して崩れなくなったが、埋めたあたりに柿の芽が生え、実を結ぶとどの年も片側は皮がなく肉が剥き出しのままであったという。
原典より
村の不動堂(一説、大山の不動明王と、同木同作だと言い伝へてゐるけれども、大山不動尊は金像であるから、全く異ふ。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。