火難を逃れて桜に飛び移った千葉寺の観音
どんな伝承か
千葉寺は和銅二年、行基菩薩の開基によって創建された坂東三十三所霊場の一つで、本尊は十一面観世音菩薩である。かつて千葉氏の兵火により堂宇が焼失した際、本尊は西方八丁の高台の桜樹に飛び移って難を逃れたと伝わり、その地は桜木と呼ばれ草木を伐採しない習わしとなった。以来火災の折には季節を問わず桜が咲くとされ、その霊示を受けて桜樹の下に仮堂が建てられたという。
原典より
千葉介平利胤花押---千葉笑ひは、千葉寺に伝はれる古俗である。—— 日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。