椀を返さぬ者が出て閉ざされた椀貸穴
どんな伝承か
印旛郡八生村大字大竹に、子は清水の椀貸穴と呼ばれる穴がある。葬式や婚礼などの折に、椀を貸してくださいと頼むと、翌朝には穴の前にちゃんと椀が並べて置いてあった。ところがあるとき、欲深な者が借りた椀を一つ返さずに隠しておいた。それより明王の怒りに触れ、二度と椀を貸してくれなくなったという。椀貸しの伝説は各地にあるが、この地のものはとくに有名であると原典は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。