竹の弓で的を射る正月のオビシャ
どんな伝承か
下総では正月二十日、あるいは七日や十一日に、鎮守の社で惣代や当番が行う祭りをオビシャという。この日、里の男の子はみな生家に帰り、若者たちはこざっぱりした身なりで遊ぶ。ビシャとは歩射のことで、竹の弓に十二本の矢をこしらえ、農蚕や豊作・不作などを書いた紙を十二、三枚重ねて張り、三階松の絵を大きく描いた的を七、八間先に置いて皆で射る。一矢で真ん中に当たればよし、当たらなければ当たるまで射るもので、里人はこれを悪魔退散の法と呼ぶ。今では村の鎮守の祭りを総じてオビシャと称し、年中行事の一つになっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。