石芋
どんな伝承か
一人の僧が下総の地を巡り、井戸野というところを過ぎたときのことである。五六十ばかりの老婆が芋をひねっているのを見て、僧はその芋を乞うた。ところが老婆は、僧の姿が乞食にひとしく見えたので声を荒らげ、これは石芋なのだから食べることはできない、と言い捨てて家に入ってしまった。僧は黙って行き過ぎたが、しばらくして老婆がその芋を煮て食べようとすると、石のように硬くて、とても食べられたものではなかった。せんかたなく捨てたところ、やがて芽を出したが、その芋はやはり石のような硬さであったという。この芋は今に至るも絶えることがないと『房総一覧志』に見える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・大正~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 下総の巻』を全179話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。