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身内の顔を求めて持ち去られた羅漢の首

所在地千葉県安房郡鋸南町大帷子(日本寺)
年代伝承(安永年間)
登場庄屋の娘
出典日本伝説叢書 安房の巻

どんな伝承か

鋸山の日本寺では安永九年、愚伝の大祈願によって多くの喜捨が集まり、千五百体の石像が刻まれ、もとからの分と合わせて羅漢は千五百五十三体と称えられた。ところがあるとき、そのうち三体の首が失われた。犯人は分からなかったが、のちに首は隣村の大帷子の庄屋の家にあると知れた。庄屋の娘が亡き父母と乳母を偲ぶため、似た顔の羅漢の首を持ち帰ったのだった。それから、日本寺の羅漢には身内そっくりの顔があると言いはやされ、亡き人を偲ぶ人が首を無断で持ち帰ることが増えた。首に体をつけてやれば亡き人は良い所へ行けるという信仰も生まれ、今では多くの羅漢が首を失い、首無羅漢と呼ばれるようになった。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))

『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。

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