義僕久八の顕彰碑
どんな伝承か
安房郡鴨川町大字磯の金剛院の境内に、久八の碑がある。久八は平館(今の館山市の一部)の村民甚兵衛の雇い人で、漁の達人であったという。天明四年甲辰十一月八日、暴風による難船の際、まず主人の藤吉を陸へ送り届け、再び波間へ戻って同行の五人を救おうとしたが、力尽きて溺死した。天明六年五月、その地の領主松平左金吾がこの義僕を顕彰する碑を建てたが、碑文は嘉永の火災で失われ、今は復元する術がないと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。