日照りに鳴る小笠山の天狗囃子と片目の魚
どんな伝承か
遠江の東海道掛川駅の南には小笠山の山並みがあり、そこに鎮まる小笠神社は土地の人々から厚く崇められている。この社には昔から神の使いとして天狗が住むといわれる。夏の日照りのころ、山からはピイックドンドンと天狗囃子がさかんに聞こえてくるが、地元の村までは届かず、隣村でよく聞かれるという。そのころ田の畦には天狗の焚火が燃え、あちこちへ飛んで焚かれ、遠くへ走ることもある。水の減った田で天狗が雑魚を捕るのだといい、跡を訪ねても爪の痕があるばかりで火を焚いた形跡はない。天狗の捕った魚は片目なので、片目の魚は捕ってはならないと言い伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。