昼間の峠で人を食っていた狼の目撃
どんな伝承か
狼が最後に見られたのは、二〇年前に死んだ私の母が八〇年前のことだと言っていたから、もう一〇〇年以上も前のことになる。有料道路を登りきったところに檜原へ越える峠があり、その峠の付近で狼が人を食っているのを旅人が見て、驚いてそこから引き返し、小河内へ逃げ帰ってきてそう話したという。夜ではなく昼間の出来事だったと、母は言っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。