目をつぶって魚をかすめる大食いの猫
どんな伝承か
文京区の話。昭和四十五年ごろ、大食いで一番太ったときは八キロを越えた猫がいた。食卓の魚をかすめ取るが、それが悪いと知っているらしく、目をつぶって遠慮がちに手を伸ばす。自分が見えなければ人にも見えないと思っているらしい。見つけて叱ると、ぱっと目を開け、伸ばした手でハエを追うまねをする。網戸のある三階でハエなどいないのに、魚を取ろうとしたのではないと言い訳するようだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。