大正の頃
どんな伝承か
大正のころの話。煙突から煙を吐いて走る汽車は大正の子どものあこがれだったが、その汽車を知らない子たちがいた。大正七年の秋、茨城県潮来の小学一年生だった語り手は、学校の遠足で成田の不動尊へ行った。潮来から佐原までは一年生から三年生までが舟を連ねて行き、佐原駅から成田までは汽車に乗ることになっていた。水郷の子には舟や蒸気船は見慣れていても汽車を知らぬ者が多く、プラットホームに停まっていた貨物列車の戸が開いていたので、どやどやとその貨車に乗り込んだ子が十二、三人もいた。むろんすぐに引率の先生に叱られて降りたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。