旅籠で聞こえた祖母の声
どんな伝承か
大正十三年の話。語り手が山形県の師範学校の二年生だったとき、修学旅行で平泉を訪れ、その途中に一関の旅籠屋へ泊まった。薄暗くやたらと広い宿のせいか寝つけず、うとうとしかけると誰かが体にのしかかってくる。そのとき、自分を育ててくれた祖母の声が耳に届いた。幻聴であり、幻の祖母だったのだろうと本人は考えている。ところが山形へ帰ってみると、祖母はちょうどその頃に亡くなっていた。今でもよく思い出すが、恐ろしさはなく懐かしいだけだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。