赤ん坊になって懐へ飛び込んだ母
どんな伝承か
昭和十五年頃のことという。長野県下高井郡山ノ内で、教員として任地に赴いていた語り手の生まれ故郷には、弟夫婦と母親が住み、百姓を営んでいた。十二月、雪の降るある日、弟から母の病が篤いという電話が入った。雪が深く、電車を乗り継いだ上に六キロの道のりを歩かねばならず、夜のうちに向かうことができなかった。心にかかりながら床についたその晩、夢の中で母親が赤ん坊の姿になって自分のふところに飛び込んできた。不思議に思っていると、母の死去を知らせる電話がかかってきたという。回答者は長野県在住の大月松二。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。