母の夢が示した千葉公園の眼鏡
どんな伝承か
七月四日の月曜の朝、市役所の清掃員が千葉公園の茂みの陰で女性の死体を見つけた。胃から青酸反応が出たため自殺も疑われ、捜査は行き詰まった。五週間ほど経った頃、大原町に住む母親が奇妙な夢を繰り返し見ると話し出した。満月の晩、眼鏡をかけた工員風の若い男が娘に声をかけて歩き、暗がりで襲いかかる。男は逃げる途中で石段に這い上がり、眼鏡を落として片方を壊し、探しても見つからず立ち去った——同じ夢を三度見たという。改めて調べると、あずまやへ上る階段の脇から眼鏡の玉の破片が出た。眼鏡店をたどって浮かんだ溶接工場の工員が犯人だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。