経堂の伝承
どんな伝承か
昭和二十八、九年の、大雪に見舞われた冬の話。五歳の末の妹は未熟児で生まれ、入院と自宅療養を繰り返してきたが、その年明けはいつになく元気だった。母はそれまで何度も夢で白い蛇に会い、そのたびに末の娘をくれと頼まれては丁寧に断ってきた。ところが一月二十五日に妹が腎臓の病で亡くなったとき、夢に現れた白い蛇に娘をくれと言われ、母は承知の返事をしてしまったという。なぜ断らなかったかと悔やむ一方で、体の弱い一生なら幼いうちに神に召されたほうがよかったとも母は語った。妹の名はゆり江で、花の名は体の弱い子になると言われ、あえて平仮名にしたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。