迎えに来た亡き夫を追い返した夢
どんな伝承か
丁度三年前の四月頃、夜も明けきらぬうちに、死んだはずの夫が中門から入って来て高い声で「ばあさんや」と呼んだ。驚いて目を覚まし、雨戸を一枚開けると外に夫が立っている。何しに来たのかと聞くと、迎えに来たと言う。夫が亡くなった翌年に恐山へ行き、いたこを頼んで話したとき、自分の分も長生きして孫の生い立ちを見てくれと頼んだではないかと言うと、夫は哀れな顔でじっと見つめ、黙って音もなく帰っていった。墓の方へは向かわず女川の方へ行ったように思えた。三日ほどして、夫のいとこの老女が死んだと知らせが来たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。