上にはあがらぬと告げた七木の地蔵
どんな伝承か
久留米市長門石は、佐賀県と福岡県の境を筑後川が流れる小さな島のような土地で、昔は毎年のように洪水の水害に悩まされていた。その頃、七木の地蔵が堤防の外の低い所に祀られており、洪水のたびに水浸しになった。当時の市会議員繁太郎という人が、地蔵を上へ上げてはどうかと村の人に相談していたところ、ある晩に急に大熱を出し、地蔵が夢枕に立って「自分はこのままで良い、上にはあがらない」と告げたそうである。それでそのままにして村の人が大切に守ってきた。今では土地改良で筑後川に橋ができて便利になり、土地の半分は住宅地となって、地蔵も広い所へきれいに移され立派に祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。