夜ごと通う男の正体と鏡ヶ池
どんな伝承か
元禄のころ、浅草石浜の鏡ヶ池のほとりで手広く商う油屋に、今戸小町と評判の娘お柳がいた。ある夜、寝所に寺小姓めいた美しい若者が立ち、以来夜ごと通っては明け方に去る。娘は日ごとに痩せ、番頭の告げ口で両親が寝ずに見張ると、話し声は男女なのに障子には娘の影しか映らない。庭に隠れた番頭だけが、別れを告げて笹の間をくぐって出ていく大蛇の姿を見た。羽黒山の修験者に教わって銀の針を娘の部屋の入口に立てると、その夜の若者は下腹を押さえて苦しみ、翌朝は裏口から総泉寺門前の鏡ヶ池まで血の跡が続いていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治・江戸時代~明治時代の民話を記録した著作(推定20世紀初頭))