触れると祟る末定大納言の墓の竹
どんな伝承か
昭和二三年頃のことである。復員後に郷土の歴史調査で探訪していたとき、珠洲市大谷町外山に末定大納言の墓があると聞いて訪ねた。三月末の暖かい日だったが、当地は雪深く、山地中腹の段丘の一角に竹藪があった。日向ぼっこの爺さんは、墓はこの竹藪の中にあると指さすだけで、冬の雪で道に倒れた竹が相当あるのに誰も伐ろうとしないという。少しでもさわると祟りがあり、大分以前に倒れた竹を伐って目が見えなくなった人がいるとのことだった。勇気を出して竹藪に踏み入ると、宝篋印塔や五輪塔の各部を混成した石塔が、大きな自然石の上に立っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。