餓死者を祀る見上の森を伐った三人
どんな伝承か
御笠川と第三国道が交わる板付橋のたもと、その東側に見上の森と呼ばれる場所がある。いまは公園となり槙の木が十数本残る。森には阿弥陀堂が建ち、その隣に三角の碑がある。碑は享保の飢饉で餓死した人々を祀った墓であった。かつては堤防まで木々が茂っていたが、いつからかこの林には祟りがあるという噂が立った。大正五年、大正天皇の臨席する陸軍特別大演習が近づき、そのあたりが紅白両軍の決戦場に当たるとして伐採が決まる。月隈の若者三人が林を切り払ったところ、三人とも病を得て死んでしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。