夜中に廻って子を授かる夫婦大楠
どんな伝承か
淡路一宮と仰がれる伊弉諾神宮の境内に、県指定の天然記念物である夫婦大楠が枝を広げている。地上一メートルほどのところで幹が二股に分かれており、子に恵まれない人が参れば授かると言われてきた。イザナギ・イザナミの二神がおのころ島に降り、天のみ柱を廻って結ばれたという『古事記』『日本書紀』の故事の、そのみ柱がこの楠だとされる。いまも夜更けに大楠のまわりを廻り、出会った場所で二神の儀式にならう作法が伝えられている。樹皮には参拝者が挟みこんだ賽銭が連なり、しめ縄が張られ、玉垣と鳥居がご神木を囲んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。