椎の木山を守る二六七〇枚の札
どんな伝承か
千葉県安房郡三芳村で、山を見廻りに行ったら知らない婆さんが木を拾って歩いていて、あれえ、おまえさんも盗みに来たんかい、と平気な顔で言われた、という話をきいた。その村に「三芳村椎の木山トラストの会」がある。椎の木を中心とした自然のあるこの村へ開発業者が乗りこみ、ゴルフ場をつくろうとしたのである。予定地は「百入り」という地名が示すとおり百もの地権者の土地が入り組み、全員の同意がなければ着手できない。そこで反対する地権者と応援する人びとが立木トラスト運動を始め、一九九二年五月現在、二六七〇本の立木にオーナーの契約が済んだ。木々は「伐るとたたるぞ」などと書かれた札を下げている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。