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霧の日に樹影を映した厳正寺の大銀杏

所在地東京都大田区(厳正寺)
年代昭和初年頃、戦災で焼失
登場平林美佐男、回答者
出典現代民話考 9 (木霊・蛇)

どんな伝承か

昭和初年頃の話。大森の厳正寺の境内には、六本もの銀杏の大木があった。新緑が山門や鐘楼を被い、秋に成熟した実が樹下に落ちると、檀家の子どもたちが喜んで拾い集めた。厳正寺は京都本願寺の旧末寺で、檀徒には享保の頃から浅草海苔を採取してきた旧家が多かった。銀杏の大木は海上からも望めるように聳え、霧が立ち込める日には空に樹影を見え隠れに映し出して、帰帆する漁師たちを幾人となく遭難から救ったという。この大銀杏は大戦の空襲で本堂もろともに焼失した。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)

『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。

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